2023.05.01

健康コラム

5月 健康コラム あなたの周りにも!?「フレイル」のこと

「フレイル」を知っていますか?
「フレイル」というのは、加齢に伴って心と体の働きが弱くなる状態のことを指します。
フレイルは元々英語で「虚弱」という意味を指すフレイルティ(=frailty)に由来した言葉で、2014年に日本老年医学会によって提唱されました。
2020年からは75歳以上の方を対象に「後期高齢者の質問票」いわゆる"フレイル健診"もスタートしました。

加齢によってフレイルのリスクが高まる
加齢に伴う影響は数えきれないほどあります。
「最近、食欲が沸かない。」「かたいものを噛めなくなった。」「夜、眠れなくなった。」「物忘れが増えた。」など、歳をとったなと感じることはありませんか?フレイルはそれらが重なることで起こります。

また、直接的な体の不調でこそありませんが、人と会う機会が減少して対話が減る、働けなくなったことにより収入が減って生活が厳しくなるなどの問題もフレイルの原因となります。
(加齢による影響※例)

イラスト①.jpgでは、今、あなたにフレイルのリスクがどの程度あるのか、簡単なチェックをしてみましょう。

【やってみよう!フレイルチェック】※項目の4,8,11は"はい"の場合にチェック✔を付けます。
□ 1.ほぼ同じ年齢の同性を比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか。("いいえ"ならチェック✔) 
□ 2.野菜料理と主菜(肉または魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 3.「さきいか」「たくあん」くらいの硬さの食品を普通に噛み切れますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 4.お茶や汁物でむせることがありますか。("はい"ならチェック✔)
□ 5.1回30分以上の汗をかく運動を週2回以上、1年以上実施していますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 6.日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 7.ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 8.昨年と比べて外出の回数が減っていますか。("はい"ならチェック✔)
□ 9.1日1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 10.自分が活気にあふれていると思いますか。("いいえ"ならチェック✔)
□ 11.何よりもまず、物忘れが気になりますか。("はい"ならチェック✔)

参考:フレイル予防ハンドブック 監修:飯島勝矢(東京大学高齢社会総合研究機関)


以上です。みなさん、チェックは何項目当てはまりましたか?
1つでもチェックがついたら要注意です。

フレイルの状態を放置しておくとやがて身体機能障害へとつながり、要介護状態になる恐れがあります。
要介護状態になると"やりたいこと"と"できること"に差が現れ、自分が思うように体を動かせなくなり、食事や排せつ、お出かけ、入浴などを自分で行うことが出来なくなる可能性が出てきてしまうのです。1人で日常生活を過ごす機能が衰えていくことを考えると、とても心細いですよね?ではどうすればよいのでしょうか?

フレイル予防の三本柱
フレイルは適切な対応をすることで、予防だけでなく、既にフレイルや要介護状態の人も自立した生活を営むための糸口となります。そのために必要な3つの柱が「食べる」「動く」「つながる」です。

「食べる」...食事は身体機能を維持する上で重要な項目です。栄養が不足しないよう、様々な食材を食べることが重要なのは勿論、しっかり噛んで飲み込むことは、口腔の筋力維持にもつながります。①1日3食、②主食・主菜・副菜の揃ったバランスの良い食事を基本に、行事や旬を楽しみながらお食事をとることも良いでしょう。

「動く」...加齢とともに足腰に痛みがでて、運動が億劫になっていませんか?筋肉の衰えは、フレイルにおいて最も大きな要因と言われています。身体を痛めずに効果を出すには、数回に分けて行い、無理せず継続することが大切です。歩くときに大股にしてみる、テレビのリモコンを離れた位置に置く、椅子に座った時に手を使わずに両膝を押しあうなど、小さなことから始めてみても良いでしょう。

「つながる」...フレイルの始まりは社会とのつながりを失うこととも言われています。地域サロンや介護予防教室に出向いたり、サークルに所属したり、ボランティア活動をしたり、町内のラジオ体操に参加するなど、積極的に交流の場へ参加し人とつながることが大切です。また、ご家族との時間を過ごすことも大事な社会とのつながりとなります。

イラスト②.jpg
フレイルは本人が気づかないうちに、日常の中で進行していきます。
フレイルという言葉を知っておくこと、自身で予防に取り組むこと、周りが気づき対処を促すことがフレイル対策において重要となります。

株式会社なの花北海道  若松友香(管理栄養士)


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