2025.10.30
薬剤師の知識
薬剤師の残業はどれくらい?残業の原因や職場選びのポイントも
目次
こんにちは!なの花薬局の金原です。
薬剤師を目指している皆さんの中には、「薬剤師の残業時間はどのくらいなのだろう」「職場によって残業の多さは違うのかな」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は、薬剤師の平均的な残業時間や残業が発生する理由を詳しく解説します。
残業が少ない職場を見つけるためのポイントや就職活動で確認すべき点についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

薬剤師の残業時間はどれくらい?
厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の1カ月あたりの超過実労働時間(残業時間に相当)は平均10時間です(企業規模10人以上の企業での平均)。
医療の現場に携わる職種別に比較すると、平均残業時間は以下の通りです。
- 医師:20時間
- 歯科医師:3時間
- 看護師:6時間
- 保健師:5時間
- 助産師:6時間
また、残業時間は企業規模が大きくなるほど増える傾向があります。
薬剤師の残業時間も、10〜99人の企業規模では平均4時間、1,000人以上の企業規模では平均15時間と大きく差があります。
なお、企業規模1,000人以上に該当するなの花薬局の2023年度の月平均所定外労働時間は8時間。
全国平均よりも短いですが、今後も業務効率化や働きやすい環境づくりの取り組みを進めていきます。
また、同じ調査データはないものの、MR(医療情報担当者)の残業時間は月20時間ほど、調剤事務の残業時間は月10時間以内といわれています。
薬剤師の残業が多い職場は?原因も紹介!
薬剤師の残業が発生する具体的な原因は、職場によって異なります。
薬剤師の就職先として多い薬局、ドラッグストア、病院、製薬会社(MR)のそれぞれについて、残業が多くなりやすい理由を解説します。
薬局
薬局で発生する残業は、来局者数の変動と薬歴記載の対応が主な原因です。
インフルエンザや花粉症の流行期には来局者が急増し、業務が長引きやすくなります。
病院の受診者数が増えて病院の診療時間が長引くと、その処方に対応するために薬局の開局時間も長引いてしまいます。
また、薬歴記載も残業の原因になりやすい業務の一つ。
薬局では患者さま一人ひとりの薬歴情報を記録・管理しています。
しかし、日中は患者さま対応で時間が取れず、閉局後にまとめて入力するケースが多く、この作業のために残業になってしまうことがあります。
薬歴管理用のパソコンが共用だと、ほかの薬剤師の入力が終わるのを待たないと作業が始められないため、タイムロスが発生しやすいです。
なの花薬局では薬剤師一人ひとりにタブレットを支給し、業務の合間に入力できる体制を整備。
パソコンの順番待ちや閉局後への持ち越しを解消し、薬歴記載にかかる残業の削減につなげています。
ドラッグストア
ドラッグストアでは、調剤業務のほか、レジ対応やPOP作成、品出しなど多岐にわたる業務があります。
これらを全て勤務時間内に終えるのは難しいことも多く、残業が発生する原因になりやすいです。
特に、店舗で管理する商品の数量や状態を確認する作業である棚卸の時期には、夜遅くまで作業することもあります。
営業時間の長いドラッグストアの場合、人手不足と重なり、残業が発生しやすい店舗もあります。
病院
病院薬剤師は、緊急入院の対応、勉強会やカンファレンスへの参加などで残業が発生することがあります。
急性期病院では特に予測不能な業務が多く、残業が避けられない場面もあります。
また、症例発表やカンファレンスの準備・後片付けも薬剤師が担うことがあり、定時を過ぎても仕事が続くことも。
院内勉強会が夜間に行われたり、病床数の多い病院では薬歴の入力が勤務時間内に終わらなかったりすることもあるでしょう。
勉強会などはスキルアップの助けになるというメリットも大きい一方で、プライベートの時間が減ってしまうという点ではデメリットに感じてしまう方もいるかもしれません。
製薬会社(MR)
MRの残業の要因になりやすいのは、「医師に情報提供できるのが、診察終了後の夕方以降になることが多い」というのが一つです。
また、休日や勤務時間外に開催される学会やセミナーへの対応も求められることがあり、なかなかプライベートの時間が取れないことも。
MRは情報提供だけでなく広報業務や資料作成も担うため、幅広い仕事を経験できる一方で、業務量が多いことに負担を感じてしまう方もいるかもしれません。
どの職場でも、どうしても残業が発生してしまう場面はあります。
もちろん、度が過ぎる残業は体調を崩してしまったり、プライベートの楽しみを失ってしまったりとデメリットが大きいですが、一方で、薬剤師としてのスキルを磨く時間にできたり、患者さまや医療現場に直接貢献できたりと、得られるやりがいや達成感もあります。
仕事とプライベートの「ちょうど良いバランス」も人それぞれです。
「自分がどう働きたいか」を明確にして、就職活動に臨めると良いですね!
「薬学部の学生の自己分析方法を解説!薬剤師の仕事に必要なスキルも」のコラムも参考にしてみてくださいね。
薬剤師として就職した先の残業時間が長かったら?

もし就職後に残業が長いと感じた場合、まずは上司や管理者に相談して業務量や人員配置の見直しをお願いしましょう。
人員不足が解消されれば状況が改善する可能性があります。
タスクに優先順位をつけ、効率的に進められるようスケジュール管理を行うことも残業削減には有効です。
それでも改善されない場合は、転職を検討する選択肢もあります。
残業が慢性化した職場環境は簡単には変わらず、一時的に改善しても責任者の交代などで再び元に戻ることもあります。
状況によっては、自分の健康やワークライフバランスを守るために、環境を見直すことも必要です。
まずは、そのような環境で疲れてしまわないためにも、就職活動の段階で自分にとって働きやすい職場を探すことが大切です!
残業が少ない薬剤師の職場の探し方のポイント
ワークライフバランスを重視して就職活動をする際には、残業の少ない職場を見極めることが大切です。
探し方のポイントをご紹介します。
現場で働く人の声を聞く
必ずしも、求人に記載の通りの残業時間とは限らず、店舗や時期によって差があることもあります。
大学の先輩や知人から実際の状況を聞けると、信頼性が高い情報が集まりやすいです。
給与だけで判断しない
高い給与は魅力的ですが、他と比べて明らかに給与が高い場合は、慢性的な人手不足に悩まされている可能性も。
みなし残業代が含まれている場合もあるので、自身が許容できる範囲の残業か確認が必要です。
職場見学を活用する
職場見学は、実際に業務の様子や雰囲気を確認できるチャンス。
忙しそうな時間帯も見学できれば、残業が発生しやすい職場かどうかを判断しやすくなるでしょう。
業務量・繁忙期を確認する
通常の業務量はどのくらいなのか、残業は平均でどのくらいあるのか、季節的な要因はあるのかなど、疑問や気になる点は就職前に質問して解消しておくことが大切です。
勤務体系を理解する
固定制、シフト制、変形労働時間制、フレックスタイム制など、勤務体系によって働き方が大きく変わります。
自分の希望する働き方に合った勤務体系かどうかを確認しましょう。
薬剤師の勤務体系や雇用形態についてより詳しく知りたい方は、こちらのコラムもご覧ください。
薬剤師の勤務時間は職場で異なる?勤務体系や休日についても確認!
薬剤師の雇用形態とは?それぞれの特徴やメリット・デメリットも
薬剤師の残業時間は職場で大きく変わる!
薬剤師の平均残業時間は月10時間程度ですが、職場や時期によって大きく異なります。
薬局では季節的な来局者数の増加や薬歴記載が残業の原因となりやすく、ドラッグストアでは調剤業務以外の店舗運営業務、病院では緊急対応やカンファレンス、MRでは医師の都合に合わせた情報提供活動が残業につながりやすいです。
就職後に残業が多いと思ったら、職場に相談して環境改善を図る、仕事の効率化を図るほか、転職を検討することも一つの方法でしょう。
ですが、まずは予期せぬ残業で消耗してしまわないような就職先探しが大切です!
給与の高さだけでなく、職場見学や業務量の確認、勤務体系の把握など、さまざまな視点から情報を集めましょう。
なの花薬局では、薬剤師1人に1台のタブレットを支給し、薬歴記載にかかる残業の解消に取り組んでいます。
こうした働きやすい環境づくりが行われているかも就職活動の際に確かめましょう。
そのような職場を選ぶことで、充実した薬剤師生活を送ることができるはずです!
なの花薬局では、薬剤師の就活に役立つ情報を随時発信しています。
薬剤師として理想の働き方を目指す方は、ぜひチェックしてみてくださいね!









