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2021.07.13

薬剤師の知識

スポーツファーマシストの資格を取得するには?役割や仕事の内容もご紹介

目次

こんにちは!なの花薬局の風穴(かぜあな)です。

みなさんは、国際的なスポーツ大会などで薬剤師が活躍できる「スポーツファーマシスト」という資格を有する薬剤師がいることはご存知でしょうか?
国内でもオリンピック開催を控え、アスリートを含むスポーツを楽しむすべての方の活動を支える重要な役割を持つ資格として、近年注目を集めています。

今回は「スポーツファーマシスト」の資格の内容や役割やメリット、取得方法について解説していきます!

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スポーツファーマシストとはどんな資格?

スポーツファーマシストは、薬剤師の認定資格のひとつで、最新のアンチ・ドーピングに関する専門知識を持つ薬剤師です。
正式には「公認スポーツファーマシスト」と言います。

近年、アスリートの競技能力を高めるために禁止されている薬物等を使用したり、それらの使用を隠したりする行為である「ドーピング」が大きな問題になっています。
世界的にも「アンチ・ドーピング」の流れが強くなったことから、2009年に国内でも、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構(JADA)により「公認スポーツファーマシスト認定制度」がスタートしました。

公正なスポーツ環境をつくることを目的とした公益財団法人であるJADAが、日本薬剤師会の協力を得て資格の認定を行っています。

また、資格制度開始時は796名だった認定者が、11年後の2021年には1万1,489名に急増しており、この資格に対する興味・関心が高まっていることがわかります。
スポーツ選手のドーピング事例や国際的なスポーツ大会の開催が増えていることも、背景と言えるでしょう。

とは言え、2021年4月現在、公認スポーツファーマシストの資格を取得している薬剤師は全体の約3%とまだまだ希少な存在でもあります。

なかには禁止された成分が含まれているのを知らずにサプリなどを飲んでしまう問題もあり、すべての大会において、ドーピングの基礎知識を持つことは重要です。
そんな問題が起こらないよう、アスリートにとって身近な頼れる相談役として、スポーツファーマシストの活躍が期待されています。


スポーツファーマシストの仕事の内容や役割とは?

スポーツファーマシスト2.jpg

スポーツファーマシストの主な仕事は、最新のアンチ・ドーピングの知識を用いて「スポーツ競技者や指導者、スポーツを楽しむすべての人へ薬の正しい使い方などアドバイスを行うこと」です。

なかでも、最も重要な役割は「ドーピングからアスリートを守ること」です。
スポーツファーマシストが活躍できる最も大きな舞台は、オリンピックなどの世界的規模の国際スポーツ大会などです。

公正さを重んじるスポーツ競技の世界において、ドーピング行為は重大なルール違反となり、選手資格やメダルの剥奪など選手生命に大きく影響を及ぼす可能性もあります。
特に近年では、意図的なドーピングではなく、禁止成分が含まれていると知らずに使用してしまう「うっかりドーピング」が問題視されています。

ドーピングというと筋肉増強剤のイメージが強いですよね。
しかし、病院で処方される薬はもとより、薬局やドラッグストアなどでも購入できる一般的な処方薬やOTC医薬品、栄養補助食品などの中にも、ドーピングの規制対象となる成分が含まれている場合があります。

アスリートが風邪をひいたり怪我をしたときに使用する薬や、筋肉をつける目的で摂取するプロテインなどに禁止薬物が含まれていないか相談にのり、適切な指導を行うこともスポーツファーマシストの重要な役割です。

競技者に医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供を行うことで、アスリート人生にかかわる重大なリスクを回避させることができるため、やり甲斐の大きい仕事でもあります。

現状では、アスリートの健康管理や治療を行うスポーツドクターのように、競技団体に専属で所属するスポーツファーマシストはまだまだ少数です。
ですが、将来的には医師や栄養士などと連携し、アスリートのサポートメンバーとして、活躍の場が広がっていくことが期待されるでしょう。

ドーピングからアスリートを守る以外にも活躍の場が!

地域や学校などの教育現場で医薬品の適性使用について話をしたり、情報提供を行ったりすることも重要な役割の1つです。

薬剤師として専門性を発揮しながら、アスリートだけでなく、部活動に注力する学生をはじめとした地域の人たちのスポーツ活動を支えていくこともできます。
今後はスポーツの知識を生かし、超高齢社会の中で多くの薬を服用している中高年の患者さまに対しても、運動面での適切なアドバイスができるようになることが期待されています。

【参考:スポーツファーマシストの主な活動例】

  • 医薬品の適正使用とアンチ・ドーピングに関する情報提供
  • 学校教育の現場におけるアンチ・ドーピング情報を介した医薬品の使用に関する情報提供
  • 地域におけるスポーツファーマシストの存在とアンチ・ドーピング活動の周知
  • 国民体育大会に向けての都道府県選手団への情報提供・啓発活動

出典:スポーツファーマシスト

スポーツファーマシストの資格を取得するメリット

それでは、スポーツファーマシストの資格を取得すると、どのようなメリットがあるかをご紹介していきます。

アンチ・ドーピングについて詳しくなれる

スポーツファーマシストの研修受講により、アンチ・ドーピングに関しての規則や、薬物禁止リストが学べます。

薬剤師であっても、薬の成分だけでドーピング違反になるか否かの判断が難しい場合もあります。
テキストを活用して勉強することで自己研鑽に繋がり、薬剤師としての自信にもなり、日常業務でもスポーツを楽しむ患者さまのお役に立つこともできるでしょう。

スポーツ関連医療機関で活躍できる

スポーツファーマシストは、スポーツチームやスポーツドクターがいる整形外科の処方箋応需が多い薬局などにニーズがあります。
アスリートの身近な頼れる専門家としての活躍だけでなく、スポーツをしている患者さまなど一般の方にもアンチ・ドーピングの普及・アドバイスが可能です。

また、スポーツファーマシストに認定されると、日本アンチ・ドーピング機構のホームページを通じて所属薬局名を公開することもできます。
誰でもウェブサイトからスポーツファーマシストの在籍する薬局を検索できるため、身近に相談できる拠点があることをアピールすることで、普及活動や社会貢献にもつながります。

教育の現場でアンチ・ドーピング普及、啓発者として活躍ができる

先に述べた通り、スポーツファーマシストは教育現場においても活躍の場があります。
日本アンチ・ドーピング機構と連携している日本薬剤師会から、学校薬剤師に対してアンチ・ドーピングの実態や危険性を普及するため、地域の学校に医薬品の適正使用を啓発する授業を依頼されるケースもあります。

このように、薬剤師として新たな知識の蓄積だけでなく、スポーツファーマシストの活躍の場は地域の教育現場にも広がっています。

特に、スポーツ選手をサポートしたい人、スポーツの現場で薬剤師としての専門性を活かしたい人、指導や啓蒙活動にやりがいを感じる人には向いていますし、取得メリットが大きい資格と言えるのではないでしょうか。


スポーツファーマシストになるには?資格取得方法を解説

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それでは、スポーツファーマシストの申請資格条件や取得方法、認定までのスケジュールについて詳しく解説していきます。

スポーツファーマシストになるには、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の定めたカリキュラムを修了し、試験に合格しなければなりません。
まず、資格認定を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

【認定申請時に必要な条件】

  • 薬剤師の資格を保有(年齢不問)
  • 基礎講習会を受講
  • 実務講習を受講(オンライン受講可)
  • 知識到達度確認試験の合格(オンライン受講可)

スポーツファーマシストとして活動するためには高度な薬学の知識が必要になりますので、薬剤師の資格保有と薬剤師としての知識や経験があることが前提です。
試験の出題範囲は広いですが、基本的には、事前に行われる基礎講習会や実務講習で学んだ内容を押さえておけば、比較的簡単に取得できる資格といえます。

ただし、募集定員が設定されているため、募集定員を超えた場合は抽選となり、人気も相まって倍率も高くなっています。

また、スポーツファーマシストの資格認定は、例年以下のスケジュールで行われています。

【スポーツファーマシスト資格認定までのスケジュール】

  • 4~5月頃:公認スポーツファーマシストホームページより受講者募集受付
  • 6~7月頃:基礎講習会開催(東京または大阪を選択して参加)

※基礎講習内容...スポーツファーマシストの概念や役割、ドーピングの問い合わせに対する対応、使用するツールなど

  • 11~12月頃:実務講習申込受付
  • 12月~翌1月頃:実務講習(eラーニング)、知識到達度確認試験、認定申請

※実務講習内容...スポーツファーマシストの仕事内容、ドーピングに関する法律や制度、知識到達度確認試験(eラーニング)

  • 翌4月1日:認定


【資格取得までにかかる費用】

  • 認定プログラムの受講料:7,600円
  • 資格の認定料:21,000円


スポーツファーマシストの認定資格は4年間有効ですが、資格取得後、資格維持のために下記点も留意しておく必要があります。

  • 資格は4年に一度更新する必要がある
  • 毎年、実務講習(e-ラーニング)を受講する
  • 有効期限中の4年目にあたる年に、基礎講習・実務講習(e-ラーニング)を受講し、知識到達度確認試験に合格する
  • 更新の費用として、初回認定時同額の受講料7,600円と認定料21,000円が必要


スポーツファーマシストは1年程度で取得できるため、薬剤師の認定資格の中では、比較的チャレンジしやすい資格といわれています。
薬剤師としての基礎教養と、アンチ・ドーピングに対する興味関心があれば合格できますので、スポーツに興味のある方はもちろん、どの資格を取得してみようか迷っている若手薬剤師の方は挑戦してみることをおすすめします。


スポーツファーマシストの役割を理解して資格にチャレンジ!

スポーツファーマシストは、薬剤師の認定資格のひとつで、最新のアンチ・ドーピングに関する専門知識を持つ薬剤師のこと。

主な仕事は「スポーツを楽しむすべての人へ薬の正しい使い方などアドバイスを行うこと」ですが、教育の現場で教える立場になったり、高齢者施設でのサポートなどさまざまな需要があります。

いま、薬剤師の活躍する舞台は、薬局等医療機関だけでなく地域全体へと広がっています。
「公認スポーツファーマシスト」の資格を取得することで、アスリートのサポートだけでなく、アンチ・ドーピング活動により、地域住民の皆様の健康増進を促すことで、薬剤師の本来の使命である社会貢献もできるでしょう。

薬剤師として専門性を発揮するためにも、スポーツファーマシストの資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。

なの花薬局の就職サポートコラムでは、薬学生の就活に役立つ情報を随時発信しています。
スポーツファーマシスト以外にも、薬局勤務で取得できる認定資格はたくさんありますよ!

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