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2023.09.06

薬剤師の知識

リフィル処方箋のメリットとは?薬局への影響や課題も!

目次

こんにちは!なの花薬局の森田です。

2022年より日本でも導入が始まっているリフィル処方箋。
持病などで継続的に通院している患者さまにはメリットが大きい制度で、病院や薬局にとってもメリットがあります。

今回のコラムでは、リフィル処方箋について詳しく解説。
リフィル処方箋の概要や対象、メリットや懸念点、今後の課題、薬局への影響などを解説していきます。

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リフィル処方箋とは?

リフィル処方箋とは、一定期間内に処方箋を反復利用できる制度です。
アメリカで最初に導入され、日本では2022年4月から導入されています。

リフィル処方箋制度の導入は、患者さまと医療機関双方の負担軽減と医療費の軽減が目的です。

薬を処方してもらうためには医療機関の受診が必須で、持病の常服薬がある方も、薬をもらうためだけの受診が必要です。
これは毎回通院する患者さまには負担となるものです。

リフィル処方箋制度を活用することで通院回数が減り、患者さまにとっては通院の負担や医療費の負担が減ります。
医療機関にとっても窓口や医師の対応が省略できることで、診察や手続きにかける時間や負担を減らすことができます。

リフィル処方箋が対応可能な範囲は?

リフィル処方箋は、症状が安定していて繰り返し同じ薬を処方している患者さまが対象。
医師の判断で、リフィル処方箋が発行されます。

1枚の処方箋で、1回目を含め最大3回まで同じ薬を受け取れます。

投薬期間の定めはありませんが、1回目の処方では通常通り発行日を含め4日以内に薬を受け取り、2・3回目は薬を飲み終わる日を次回の調剤予定日としてその前後7日以内が薬を受け取れる期間となります。

なお、麻薬、向精神薬、新薬など投与量の限度が定められている薬と湿布薬はリフィル処方箋の対象外となっています。

分割調剤との違い

1枚の処方箋で複数回薬を受け取る制度には、分割調剤というものもあります。

分割調剤は、1回の処方薬を一度に受け取らずに最大3回に分けて受け取るというもの。
長期保管が困難な場合や、後発医薬品を初めて処方された場合などに、医師の指示に基づいて行われます。

リフィル処方箋は1つの処方箋で繰り返し同じ薬を受け取れる、分割調剤は1つの処方について数回に分けて受け取るという違いがあります。


リフィル処方箋のメリットや懸念点

リフィル処方箋制度のメリットや懸念される点をそれぞれご紹介します。

リフィル処方箋のメリット

患者さまは受診せずに薬局へ来ることになるため、薬の飲み残しがないか、薬を飲んでいて体調の変化はないかといった服薬管理や健康状態の把握などを薬局の薬剤師が行うことになります。
患者さまとのコミュニケーションが密になり、かかりつけ薬局としての重要性が増すことから、リピーター顧客の獲得につながります。

また、患者さまは薬をもらうためだけに受診する必要がなくなるので、通院の身体的・時間的負担や受診費用の経済的負担が減ります。
「通院回数を減らすために薬をまとめてもらっておこう」とする必要もなくなるので、一度に受け取る薬の量を減らして服薬管理がしやすくなり、飲み残しを減らすことにもつながるでしょう。

リフィル処方箋の懸念点

リフィル処方箋制度の場合、薬剤師は調剤情報の管理や服薬管理のほか、患者さまの健康状態を確認して必要に応じて受診を促すなどの役割も担います。
そのため、薬剤師の負担や責任が増える可能性があることが懸念点の一つとしてあげられます。

また、患者さまの受診頻度が下がると病状の変化や悪化に気付きにくくなり、適切な受診や医療が遅れる可能性があります。
リフィル処方に慣れてしまうと、受診が必要な状態であっても患者さまが受診に消極的になってしまうケースも考えられます。


リフィル処方箋が抱える課題と今後。薬局への影響は?

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一般社団法人日本保険薬局協会の「リフィル処方箋応需の実態調査報告書」によると、2022年11月時点で、リフィル処方箋の体制が整っていると回答する薬局は4,352回答のうち92.4%。
しかし、2022年4月~10月の間でリフィル処方箋の実績がある薬局は42.1%で、10月単体では26.0%、総受付件数に対するリフィル処方箋の割合は0.102%と、まだまだ普及していないのが現状です。

利便性の高いリフィル処方箋ですが、健康被害や医療事故のリスクについて心配される声もあり、リフィル処方箋の普及を安全に進めるには、患者さま・医師・薬剤師の3者の信頼関係の構築と安全管理の整備が欠かせないでしょう。

リフィル処方箋の導入で考えられる薬局への影響

リフィル処方箋を活用している間は、患者さまは医師の診察を受けずに薬局に来ています。
先ほど「薬剤師へのメリットや懸念点」でもお伝えしたように、今まで医師と連携して行っていた調剤管理や服薬管理、健康状態の把握などを薬局のみで行うことになるので、薬局の負担が増え、責任も重くなることが考えられます。

患者さまの健康状態の経過を観察し、必要に応じて受診を促したり病院と情報共有したりする必要もあり、医療機関とのさらなる連携強化も必要となるでしょう。
リフィル処方箋導入により薬局・薬剤師の負担は増えると予想されるため、業務の効率化も必須です。


薬局業界では現在、慢性的な薬剤師不足や薬剤師の役割の変化などが課題となっています。
現状や課題について「薬局業界の現状や今後の動向について知ろう!」のコラムでも解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。


リフィル処方箋はかかりつけ薬局の役割を強化させるメリットあり!

リフィル処方箋とは、1枚の処方箋で最大3回まで同じ薬を受け取れるというもの。
「薬をもらうためだけに受診する」という必要がないので、患者さま・医療機関の双方の負担を軽減します。

リフィル処方箋を活用すると、薬剤師と患者さまとのコミュニケーションが増え、かかりつけ薬局としての役割が強化され、リピーター獲得につながるメリットがあります。
また、患者さまにとっては受診回数が減って負担が軽くなるというメリットも。

一方で、調剤管理や服薬管理に加え、患者さまの健康状態を把握し、必要に応じて受診を促すなども必要となり、薬剤師の負担や責任が重くなるおそれがあることが懸念点の一つ。
また、患者さまの健康状態の変化に気づきにくくなること、患者さまが必要な受診にも消極的になってしまう可能性があることなども懸念点としてあげられます。

患者さまにも大きなメリットのあるリフィル処方箋ですが、日本での普及はまだ進んではいません。
リフィル処方箋の普及を進めるには、患者さまの不安を取り除くための信頼関係や安全管理体制の構築とともに、負担が増える薬局の業務効率化が課題といえるでしょう。

なの花薬局では、薬剤師の就活に役立つ情報を随時発信しています。
薬剤師を目指す方や薬剤師の働き方について疑問がある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね!

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