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2025.04.28

薬剤師の知識

疑義照会の書き方を解説!気をつけるポイントも詳しくご紹介

目次

こんにちは!なの花薬局の金原です。

調剤業務の中で、薬剤師が処方内容に疑問を感じた際に行う「疑義照会」。
疑義照会は、患者さまの安全を守るために欠かせない業務の一つです。

今回は、疑義照会の基本的な考え方から具体的な書き方、実際に行う際の注意点まで詳しく解説します。

薬学生の皆さんや新人薬剤師の方々の疑義照会に対する不安を解消し、自信を持って業務に取り組むためのヒントをお伝えします。

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疑義照会とは?重視される理由について

疑義照会とは、処方箋の内容に不明点や疑問点が見つかった際に、処方した医師に確認を取る行為です。
これは、患者さまに最適かつ安全な薬物療法を提供するために、医師の処方内容を薬剤師の視点でダブルチェックする重要なプロセスといえます。

疑義照会は薬剤師の法的義務として、薬剤師法第24条で以下のように定められています。

「薬剤師は、処方せん中に疑わしい点があるときは、その処方せんを交付した医師、歯科医師又は獣医師に問い合わせて、その疑わしい点を確かめた後でなければ、これによつて調剤してはならない。」
※引用:e-GOV法令検索:薬剤師法第24条

必要な疑義照会をせずに調剤を行なった結果、患者さまに健康被害が生じた場合、薬剤師は法的責任を問われる可能性があります。

形式的疑義照会と薬学的疑義照会

疑義照会には「形式的疑義照会」と「薬学的疑義照会」の、2つの種類があります。

形式的疑義照会は主に処方箋自体の記載不備に関するもので、例えば次のようなケースがあります。

  • 薬剤規格の未記載
  • 用法・用量情報の不足
  • 処方医の署名や捺印の欠如
  • 法定制限を超えた処方日数
  • 製造・販売が終了した医薬品の処方
  • 偽造の疑いがある処方箋 など

一方、薬学的疑義照会は薬物治療の専門的観点からの確認です。
処方箋だけでなく、薬歴、患者さま情報、お薬手帳、ヒアリング結果などを総合的に分析し、以下のような問題点を見つけた場合に実施します。

  • 患者さまの状態に禁忌または慎重投与とされる薬剤の処方
  • 併用禁忌の薬剤の処方
  • 同一成分や同効薬の重複処方
  • 過去にアレルギー反応が出た薬剤の処方
  • 副作用歴のある薬剤の再処方 など

なぜ疑義照会は重要視されるのか

疑義照会が重視される理由について理解しましょう。

①患者さまの安全を守るため

処方内容に誤りがあると、重大な健康被害を引き起こす可能性があります。
例えば、過量投与、禁忌薬の使用、危険な薬物相互作用などが起こりえます。
適切な疑義照会を通じて、こうした問題を未然に防ぎ、患者さまの安全を確保することができます。

②医療費の削減に貢献するため

疑義照会によって残薬調整による処方日数の適正化や重複投薬の回避ができれば、不必要な医薬品使用を減らし医療費の削減につながります。

また、重篤な副作用を予防することで、その治療に必要となる追加医療費も抑制できます。


薬剤師としての専門性をさらに理解したい方は、「薬剤師の仕事内容をご紹介!薬剤師になるための条件や魅力も知ろう!」をご覧ください。
薬剤師の基本的な業務から資格取得方法まで詳しく解説しています。

なぜ疑義照会が難しいと感じるのか

疑義照会は重要な業務ですが、難しいと感じる薬剤師も少なくありません。
その理由として、次の点が挙げられます。

①専門的知識と判断力が求められる

薬学的な疑義を発見するためには、幅広い薬学知識と臨床経験が不可欠です。
個々の薬剤特性はもちろん、年齢や体重に応じた用量調整、特定疾患における禁忌、複雑な薬物相互作用など、さまざまな要素を考慮する必要があります。

これらを適切に判断するには、日々の学習と経験が必要です。

②コミュニケーション能力が必要

疑義照会を行うには、診療中の医師に対して、適切なタイミングでの連絡が必要になります。

医師に疑義内容を明確かつ簡潔に伝えることや、疑義照会によって待ち時間が発生する患者さまへの状況を説明するなど、さまざまな場面でコミュニケーション能力が必要です。

コミュニケーション能力は、薬剤師に求められるスキルの一つです。
薬剤師に求められる資質や能力について詳しく解説しているコラムもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
薬剤師はどんな人が向いている?性格や特徴、必要とされる能力も
コミュニケーションが苦手な薬剤師必見!患者さまと良い関係を築こう


疑義照会の書き方

疑義照会を実施した場合、処方変更の有無にかかわらず、処方箋と薬歴の両方に記録を残すことが義務付けられています。
※参考:e-GOV法令検索:薬剤師法施行規則 第十六条

疑義照会の基本的な流れと記録方法について解説します。

疑義照会の手順

疑義照会を行う手順は以下の通りです。

  1. 1. 処方箋に記載された電話番号に電話をかける
  2. 2. 自己紹介をし、患者さまの情報を伝える
  3. 3. 疑義照会の内容を簡潔に伝える
  4. 4. 医師からの回答を聞き、必要に応じて追加の確認を行う
  5. 5. 処方箋と薬歴に記録を残す

医師からの回答は即時に得られることもありますが、後ほど折り返しの連絡を待つ場合もあります。
伝言で回答を受けた場合は、病院スタッフの氏名も記録に残しておきましょう。

疑義照会の記録の書き方

疑義照会の記録には、以下の項目を必ず含める必要があります。

  • 照会実施日時
  • 対応した医師名と担当薬剤師名
  • 照会内容の要点
  • 医師からの回答要旨

処方箋への記録は、備考欄または処方欄に手書きで行います。
処方変更が生じた場合は、変更前の内容が判別できるよう二重線で消し、新しい指示内容を明記します。

薬歴にも同様の情報を記載し、加えて疑義照会に至った背景情報や患者さま固有の状況なども詳細に記録しておくと、将来の薬学的管理に役立ちます。

電子薬歴システムでは専用の疑義照会欄が設けられていることもあり、SOAP形式で記録している場合はアセスメント(A)部分に記入するのが一般的です。

当社で使用している電子薬歴システムの中には、疑義照会を記録・管理できる機能が備わっています。
また、過去の疑義照会履歴を確認することも可能です。


疑義照会の際に気をつけるポイントと注意点

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疑義照会をスムーズに、そして効果的に行うためのポイントをいくつかご紹介します。

要点の整理と簡潔な伝達

疑義照会で最も大切なのは、伝えるべき内容を事前に整理し、要点を簡潔に伝えることです。
医師は診療の合間に疑義照会に対応することが多いため、短時間で状況を理解してもらえる配慮が必要です。
電話をかける前に、確認したい事項や懸念点を箇条書きにメモしておくと良いでしょう。

また、患者さま情報や処方番号など、医師が状況を把握するために必要な情報も準備しておくことで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。

代替案の事前準備

疑義照会では、単に問題点を指摘するだけでなく、代替案を提案できると効率的かつスムーズです。
処方変更の必要がある場合には、代替の薬剤や分量など、必要な内容の提案を用意しておくと良いでしょう。

処方変更が必要となる可能性がある場合は、添付文書やガイドラインなどの根拠情報も確認しておくことで、医師への提案がより説得力を持ちます。
一度の連絡で問題を解決できるよう、必要な情報をすべて準備してから疑義照会を行いましょう。

医師との円滑な関係構築

疑義照会は医師の処方に対して疑問や修正を提起する行為ですので、医師との良好な関係がなければスムーズに進みません。
医師に、薬剤師を信頼してもらえる関係性を作ることが大切です。

医師には「処方の誤り」を指摘するのではなく、「患者さまの安全のための確認」や「処方意図の理解のための相談」という姿勢で問い合わせましょう。

基本的なビジネスマナーも欠かせません。
まずは自分の所属や名前を名乗って医師の都合を伺い、医師の時間を尊重する態度を示しましょう。

患者さまへの適切な説明と配慮

患者さまに対しては、疑義照会の必要性について説明し了承を得ることが大切です。
その際、患者さまと医師との信頼関係を損なうような「医師の処方に誤りがあった」という説明は避け、より適切な薬物療法のための確認であることを伝えましょう。

また、患者さまをお待たせするケースでは、回答までに時間がかかることも伝え、状況に応じて一旦帰宅していただくなど患者さまの都合に合わせた配慮も必要です。

疑義照会を行なった後、処方変更があった場合、患者さまへ変更内容とその理由を改めて丁寧に説明しましょう。


疑義照会の必要性と書き方を理解し安全な薬物療法を支えよう

疑義照会は、処方箋に疑問点や不明点がある場合に医師へ確認するもので、薬剤師の法的義務です。
形式的疑義照会と薬学的疑義照会の2種類があり、患者さまの健康被害防止や医療費削減に貢献します。

疑義照会は薬学的知識と経験、そしてコミュニケーション能力が求められます。
決して簡単ではありませんが、適切な疑義照会は患者さまの健康被害を防ぎ、医療資源の効率的活用にも貢献できる、薬剤師ならではの専門性が発揮される重要な機会です。

疑義照会の記録には、日時、関係者名、内容、回答の要点を漏れなく残し、処方変更時には明確に変更内容を記載することが必要です。

疑義照会のコツは、要点の簡潔な伝達、代替案の事前準備、医師との円滑なコミュニケーション、そして患者さまへの丁寧な説明にあります。
これらを意識した実践が、医療チームの一員としての薬剤師の価値を高めることにつながります。


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薬剤師として理想の働き方を目指す方は、ぜひチェックしてみてくださいね!

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