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2021.07.28

薬剤師の知識

かかりつけ薬剤師になるための要件や条件をチェック!メリットもご紹介

目次

こんにちは!なの花薬局の上野です。

「かかりつけ医」は聞いたことがある方も多いと思いますが、「かかりつけ薬剤師」という薬剤師もいることをご存知でしょうか?

今回は、かかりつけ薬剤師について詳しくご紹介したいと思います。
かかりつけ薬剤師になるために必要な要件、かかりつけ薬剤師のメリット、一般的な薬剤師との違いなどもご紹介します!

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「かかりつけ薬剤師」とは?

皆さんは「かかりつけ薬剤師」という言葉をご存知でしょうか?
「かかりつけ薬剤師」とは、薬による治療や、健康や介護に関することなどの豊富な知識を持ち、患者さまのニーズに沿った相談に応じることができる薬剤師です。

この「かかりつけ薬剤師制度」は2016年4月の診療報酬改定からスタートしました。

その背景には、日本における超高齢社会があります。
日本の高齢化率は世界でも大変高く、今後もハイスピードで進んでいく見込みです。
そして2065年には、全人口の約25%が75歳以上の後期高齢者になり、高齢化率も38%を超えるとの推計が出ています。

そうした中で厚生労働省は、地域の医師や訪問看護師、「かかりつけ薬局」の薬剤師が連携して、患者さまが自宅で医療を受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。

また、かかりつけ医等と連携して地域住民の健康保持・増進に貢献する重要な『かかりつけ薬局・薬剤師』を確立させ、患者さま本位の医薬分業の実現を目指しているのです。


かかりつけ薬剤師の役割とは?

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かかりつけ薬剤師・薬局は、「服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行う」「医療機関等と連携する」「24時間対応・在宅対応を行う」という、3つの役割を持っています。

調剤や服薬情報の管理、処方箋のチェックだけでなく、患者さま本位の「かかりつけ」として幅広い対応を求められます。

では、かかりつけ薬剤師・薬局の3つの役割について詳しく見ていきましょう。

①服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行う

お薬手帳や患者さまへのヒアリングによって、かかっているすべての医療機関や服用している薬を把握し、薬学的な知見に基づいて管理・指導します。

服用している薬に関して、他の医療機関や薬局で受け取った薬、市販薬、健康食品やサプリメントなども含めてまとめて把握し、「重複した薬が出ていないか」「薬同士や薬と食品の相互作用がないか」など、薬の服用に際して注意点などをアドバイスします。

薬の飲み合わせが悪いものを知らずに服用してしまう危険性や、自己判断で服用を止めて、病気が完治せずに症状が悪化する可能性なども、かかりつけ薬剤師が防げる問題です。

また、特に高齢者はいくつもの病院から多種類の薬を処方されているケースがあり、高齢者の約半数がポリファーマシー(臨床的に必要以上の医薬品が処方されている、あるいは不必要な医薬品が処方されている)状態と推測されています。
こういったポリファーマシー解消のため、かかりつけ薬剤師による処方薬等の一元管理や一包化などによる、減薬が期待されています。

主治医と連携して、服薬情報を一元的かつ継続的に把握することも職務のひとつです。
例えば、患者さまにお薬手帳が複数発行されている場合は一冊に集約することなどが挙げられます。

②医療機関等と連携する

薬学的知見から処方医や地域の関係機関と連携することは、患者さまの健康に関わる重要なポイントです。
例えば、処方内容をチェックして必要に応じて処方医に疑義照会することや、調剤後も残薬管理や服薬指導を行うこと、患者さまの服用状況などを把握して処方医にフィードバックすることなどが挙げられます。

また、医薬品に関する相談や健康相談に対応して、医療機関の受診をすすめることも実施します。

2020年9月に施行された改正薬機法では服薬後のフォローも義務化され、受診から受診までの間の患者さまの状態把握が可能となり、問題があれば医療機関への報告もできるようになりました。

③24時間対応・在宅対応を行う

かかりつけ薬剤師となった場合、開局時間外にも服用薬の副作用や飲み間違いなどの電話相談を受ける、緊急時には夜間・休日にも調剤を行う必要があります。

また、在宅対応も患者さまに必要とされているニーズのひとつです。
患者さまの個人宅や入居先に直接薬を届けて管理することで、患者さまとそのご家族の負担を減らすことができ、生活面からも患者さまの健康をサポートすることが可能です。

高齢化が進む日本では、このような在宅医療の充実が急務とされています。

かかりつけ薬剤師になるには?必要な要件や条件をチェック

かかりつけ薬剤師になるには、国が定めた要件を満たす必要があります。
国はかかりつけ薬剤師について「薬や健康、介護のことについて豊富な知識と十分な経験を持ちニーズに合った対応ができること」を要件に掲げています。

具体的には、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. ①薬局勤務経験が3年以上あること
  2. ②勤務先の薬局に週32時間以上勤務していること
  3. ③勤務先の薬局に1年以上在籍していること
  4. ④薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定薬剤師を取得していること
  5. ⑤医療に関わる地域活動に参加していること


少なくとも3年以上の実務経験が必須となりますが、さらに、ある程度の経験と知識、薬の服用・管理をはじめとして、体調や食事の管理など健康全般の相談に乗れるだけの知識を有している必要があります。

要件の4つ目「研修認定薬剤師の取得」のためには、必要な単位を取得する必要があります。

単位は日本薬剤師教育研修センター主催の研修会をはじめ、日本病院薬剤師会や日本薬剤師会の支部などで、集合・実習研修会実施機関として登録されている団体が行う研修会で取得が可能です。
なかには、e-ラーニング(ストリーミング型)研修で取得できる単位もあります。

また、認定薬剤師の取得には最初の申請から4年以内に40単位以上(各年5単位以上)を取得する必要があり、認定された後も3年ごとに30単位以上(各年5単位以上)の取得をして更新をしなければなりません。

要件5つ目の「医療に関わる地域活動への参加」に関しては、厚生労働省が具体的な見解を公表しています。

  • 地域行政や医療関係団体などが主催する講演会への参加
  • 地域で多種職が連携して行っている研修会への参加や、演者としての実績
  • 子供たちに薬の適正使用について説明するなど、委託を受けて行う学校薬剤師の業務
  • 休日夜間薬局としての対応や、休日夜間診療所への派遣

主に行政が主催するイベントや、薬剤師会などが地域住民に向けて主催する活動への参加が当てはまります。

5つの要件をすべて満たすためには時間がかかりますので、長期的なスケジュールを計画し、勤務している薬局のサポートも利用しながら取得を目指すことをおすすめします。


かかりつけ薬剤師になるメリットは?

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「かかりつけ薬剤師」になるためには複数の要件を満たす必要があり、それらは薬剤師の実績となり、キャリアアップにも繋がります。

かかりつけ薬剤師となる要件の1つである「研修認定薬剤師の単位」を取得しているということは、「豊富な知識を持つ」「常に最新の研究・学習を行っている」薬剤師とみなされます。

加えて、実務経験と勤務年数も併せ持つと認められます。
他の算定項目(例えば地域体制加算)でも、かかりつけ薬剤師の届け出が必要で、薬局には欠かせない存在となっています。

厚生労働省は2025年までにすべての薬局をかかりつけ薬局にすることを目指しており、かかりつけ薬剤師は今後ますますニーズが高まっていくでしょう。

また、患者さまの薬を一元管理することで、より患者さま本位の服薬指導ができるようになります。
患者さまから体調の変化や薬に関する相談を受け、医師へ処方変更を提案するなど医療機関とも密接なコンタクトを取ることになるため、地域・医療・福祉と連携したケアを実現させることができますし、チーム医療に携わることができます。

薬や健康における不安を取り除き、正しい知識で安心を与えることができれば、より信頼も高まり、頼れる薬剤師として慕われることは仕事のやりがい・モチベーションアップにつながるでしょう。

患者さまは「かかりつけ薬剤師」を1人しか選ぶことができません。
専属の薬剤師として患者さまから信頼を得て、より一層薬剤師の職能を発揮することができます。
患者さまの健康を全般的にサポートするため、一般の薬剤師の業務ではできない経験や知識を得ることができ、薬剤師としてのスキルアップにつながるはずです。

その他にも、地域活動への参加が増えることで、より地域とのつながりを感じられるという点もメリットといえます。


かかりつけ薬剤師の要件・条件を満たすことでキャリアアップも実現

「かかりつけ薬剤師」について知って頂けたでしょうか?

かかりつけ薬剤師は「服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導を行う」「医療機関等との連携する」「24時間対応・在宅対応を行う」という、3つの役割を持っています。

患者さまにとって、薬のことだけじゃなく多岐に渡って健康のトータルサポートをしてくれる重要な存在です。

近年、薬剤師を取り巻く環境は大きく変化しており、薬を渡して終わり...、という時代ではなくなりました。

セルフメディケーションが広がりを見せる中、薬剤師は幅広い知識をもって患者さまにその薬はちゃんと効いているのか、症状はよくなっているのかなど、服薬後のサポートも含めて重要な役割を担います。

地域住民、患者さまに信頼される、選ばれる「かかりつけ薬剤師」として、一人でも多くの患者さまの健康増進、生活改善に貢献していくことが、これからの薬剤師には求められていくでしょう。

なの花薬局の就活サポートコラムでは、薬剤師を目指すみなさんに役立つ情報を発信中です。
キャリアアップの選択肢の一つとして、ぜひかかりつけ薬剤師も検討してみてくださいね!

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